住宅ローンマスターです。
2011年。
本日は、1月9日の日曜日。
今日も、悲しいほど天気がいいなあ。
いやいや。
「好天」は嬉しいことよ、景気「好転」に繋がるからね。
しかし、私。
前回、いやリーマンショック後より度々申し上げているとおり。
今後の景気について、いまだに悲観的です。
まず。
1月7日(金曜日)発表の米国雇用統計について補足したいと思います。
失業率は市場予想の平均9.7%を上回る9.4%。
前月比で、0.4%もの改善だったのですが。
非農業部門の雇用者数が前月比で10万3千人の増加に留まった。
非農業部門の雇用者数、市場予測の平均は約18万人の増でしたからね。
そんな2010年12月米国雇用者数増。
その内訳は。
製造業は前月比、1万増。
娯楽・サービスが、同4.7万人増。
教育・医療が、4.4、万人増。
しかして、建設は、1.6万人の減少でしたよ。
つまりは、住宅市況の改善が進んでいない。
そして、商業施設を含めた建設需要が落ち込んでいる。
以上の2点が、想定されるわけです。
今回発表の昨年2010年12月の米雇用統計。
その結果は、「玉虫色」だった。
米国市場の反応は、如何だったのか。
NY株式市場。
ダウ工業株30種平均は続落。
前日比22.55ドル安の1万1674.76ドルで引けた。
同ナスダックも、終値が前日比でマイナス6.72ポイント安。
それぞれ、NYダウは、0.19%安。
ナスダックは、0.24%安、という反応でした。
理由は後付で、何とでも言えますがね。
雇用統計の雇用者数増が市場予測を下回ったことが材料視された。
そう見られても、仕方ないところですかね。
外国為替市場。
NY市場で、円相場は対ドルで20銭の円高すなわち83.10〜20銭。
ユーロ/円相場は、更に円高が昂進して1円5銭高の107円25銭〜35銭。
「リスク回避」の動きが促進された格好ですか。
それにしても、ユーロ。
今後を占うかのように、依然弱含みが目立ちます。
ここで、雇用者数を俯瞰してみましょうか。
2010年の年間雇用者数は、3年ぶりに増加しましたが。
その増加幅は、約110万人に留まります。
一方で、2008年と2009年。
両年で失われた雇用者数(雇用者数の減)の合計は、約840万人に及びます。
110万人と840万人。
その乖離たるや、甚だ大きい。
急激に収斂した米国の雇用。
2010年で、やっと約1割強を取戻したに過ぎない計算です。
2010年の米国経済(景気)動向を見てみます。
昨年2010年の米実質国内総生産(GDP)。
7月〜9月まで5半期連続でのプラス成長を記録。
米国の景気は、緩やかな回復傾向にあることを印象付けましたが。
同実質成長率は、同年4月〜6月が1.7%、7月〜9月が2.6%。
本格的な雇用の回復に必要とされる3%を依然として下回っています。
失業率自体を掘下げますとね。
以下は、日本の失業率算定においても言われることですがね。
一つには、就職を諦めた人が増えれば失業率は下がります。
更に米国の場合(日本においても同様の傾向があると考えられますが)。
6ヶ月以上の長期失業の比率が失業全体の4割超まで上昇していると見られる。
更に、更に。
企業が求める技術力を持つ人材と求職者の希望、そのズレが広がる懸念も大きい。
国際化(グローバリゼーション)が微妙に作用するところでもあります。
つまり、技術のない自国民より技術を持つ人材を海外で雇用する動き。
企業の海外誘致は、益々盛んになりますからね。
従来は、「安い」労働力を求めてのことだったが。
今後は、「安さ」のみならず。
技術力も含めた「企業需要に見合う」人材の、海外での雇用だ。
いやはや。
「先進国」が「新興国」の優秀で「安価な」労働力を貪るという図式でしょうか。
さて、話を戻して。
2011年1月7日発表。
2010年12月の米国雇用統計です。
FRBバーナンキ議長の発言要旨を整理すると。
@ 「経済見通し」
消費と企業支出において、自律的な回復傾向が見られる。
各経済指標は2010年後半の実質消費支出の上昇とその加速を示唆している。
一方、住宅部門は回復が見られず、住宅価格低迷は建設部門の重荷となっている。
労働市場の改善は弱く、失業率の本格的な低下には不十分である。
消費者物価上昇率は低下傾向を継続、インフレは当面抑制される公算が大きい。
A 「金融政策」
景気見通しが不透明なため昨年11月、6千億ドル分の長期国債購入を決めた。
今後の経済情勢を見極めながら、同様の資産購入策を適宜調整していく。
そして適切な時期に出口戦略を円滑かつ効果的に実施する方策は用意している。
2011年、経済成長と雇用情勢が幾分か改善しても雇用最大化の道は遠い。
雇用情勢が完全に復するのに、今後4〜5年を要するだろう。
B 「財政政策」
米国の財政法今日は金融危機と景気後退以降、かなり弱くなったことを認める。
米国家予算の赤字は、構造的要因によるもので周期的に改善する性質ではない。
政府の抱える借金と大幅な赤字額の問題に対して、十分な対策が今後必要である。
住宅ローンの今後を考える上でね。
上記Aの、「(米国)雇用情勢が完全に回復するのに、4〜5年を要する」。
これが、重要ですよ。
バーナンキFRB議長。
米国景気回復へ「慎重」と見られるFRBの姿勢を表現したものと解釈出来ます。
曰く、「今後4〜5年を要する」と。
Aの前段で言及されていた2010年11月の6千億ドルに達する国債購入。
すなわち、空前絶後と言える量的緩和策。
それでダブついたドルが各市場に溢れかえり、NY株式市場。
ダウ平均株価も、約2年5ヶ月ぶりの高値圏での推移。
市場に限らず、今後の焦点は今年2011年6月末に期限を迎える国債購入。
すなわち、米FRBが米長期国債購入という量的緩和策に終止符を打つのか否か。
確かに、直近の経済指標は米景気の回復を示すものが多い。
が半年後の状況や如何。
問題は、ユーロ圏内の「周辺国」財政不安。
そして、米国内の住宅市況の低迷。
そして更に、今後の雇用情勢。
繰り返しますが日本バブル崩壊後の20年と重ねて見てしまう私は、悲観的です。
2011年も予断を許さない米国、欧州、そして日本の経済状況。
それではまた、お会いしましょう。